こんにちは。シングルマザーのウメです。
忙しくても、子供とのコミュニケーションは絶対取れるに書きましたが、ウメ子(娘)が小さな頃は、毎日読み聞かせをしていました。
最近、ちょっとしたきっかけで、また、読み聞かせを再開しています。
今、読み聞かせをしているのは、重松 清の「小学5年生」です。
「パパのいない子供の話をしないで」片親の子供の気持ち
重松清さんといえば、シングルファザー、シングルマザーに共感度100%の1冊 泣くよ!に記事にした「とんび」の作者です。
重松清さんは、親子の絆や、子供の成長する心の様子を描写するのがとても上手い作家です。
この「小学5年生」は、いくつかの短編小説で成り立っています。
昨日はその中の「葉桜」と「おとうと」いう話を読み聞かせていました。
重松さんの本には、片親で育てられる子供の葛藤や、親が離婚する子供の話などが多いです。また、少年の心の移り変わり、兄弟愛、少年の恋心、親子の愛情、友人の死、いじめ、将来への不安、10代の少年が抱く、そして直面する問題、ごく身近なテーマが題材となっています。
この「葉桜」も好きだった女の子ユキコが親の再婚で、引っ越し、転校するという事を通して、少年が感じる恋心、葛藤のお話です。
そのユキコに対して、ある男子生徒が「離婚」「再婚」ついて辛らつに言う場面があります。
「でも、よかったんだよ。お母さんが再婚して」
カジワラ君はつづけて「お父さんがいないと、いろんなことで、やっぱり損しちゃうし」と笑い、きょとんとする少年に、「就職とか、結婚とか、大人になってから大変なんだってさ」とつけ加えた。-中略ー
おそらくカジワラ君の言うことは正しいのだろう。それでも、なぜだろう、よくわからない、ただ違うよ、といいたくてしかたなかった。
引用 小学5年生 重松 清
この本を読み終えた後、私たちは、親子で感想を話しました。
一昨日に読んだ話は、「どきどき」と「プラネタリウム」という話で、どちらかというと少年の淡い恋心についての話でした。
昨日読んだ話は、離婚だの、親がいないだの、我が家にとってはデリケートな、そんな内容が含まれています。
ふと、ウメ子が、「パパのいない子供の話をしないで」と言いました。
私は胸がキュウッとしめつけられる気がしました。
だって、この本、そんな話ばっかりだし、どうしよう。
「ウメ子にパパがいなくて、お友だちに嫌な事、言われた事ある?」と聞きました。
ウメ子は困ったような顔をして、「ないよ。」と言います。
ウメ子が私に気を使っているのが、表情で分かりました。私はどうしても気になり、「ママ、傷つかないから教えて」と言うと、
「前、皆でお父さんの話をしていた。『私は、お父さんいないんだ。』と言ったよ。」
「それで、皆は何て言ったの?」と私。
「『えー、お父さんいるかと思ってた』って皆びっくりしていた。それだけ。」
いじめられたり、嫌な事を言われた事はないの?と聞くと
「ないよ」と答えるウメ子。
「だけど、友達に、離婚したって言ったら、ママに悪いかなと思う事はあるよ。」とウメ子。
「そんなことは無いよ。嘘をつくよりずっといい。聞かれたら、離婚したんだって言っていいんだよ。」と私。
遠慮がちに、私に気を使って話す娘の姿を見て、涙が溢れそうになりました。
次の話「おとうと」というストーリーを音読すると、涙が溢れてきました。必死でウメ子に分からないように涙をこらえ読み続けます。
話に泣けるのか、ウメ子の優しさに泣けるのか、もうワケわかりません。
…ウメ子は、お友達にどういう気持ちで、「お父さんはいないよ」と言ったんだろう?言いにくかっただろうな。肩身の狭い思いをしただろうな。お父さんの話になるたびに、嫌な思いをしたんじゃないだろうか?
そんな考えが頭の中でグルグルと回り始めてしまいました。
何とか読み聞かせを終えた後、私は、ウメ子に泣きながら謝りました。
「ごめんね。ウメ子に辛い思いさせて…。パパがいないことはママには、どうする事も出来ない。ごめんね。」
ごめんね、ごめんね、ごめん、ごめん、ごめん…
普段私達は、普通の親子です。いつも、こんな話をしている訳ではありません。
でも、こういう本や映画に触れると、やはり胸につかえるものがあるのです。
ウメ子に離婚の事、父親がいない事で責められた事が、私は一度もありません。
いっその事、責められた方がいいのにと思う事もあります。
ウメ子は笑ってこう言いました。
「パパはいらないよ。ママの選択は間違っていないと思うよ。それに、もしパパがいたら、今と違った生活になっていたと思うし。
じいじとも毎日一緒にいられなかっただろうし、勉強もじいじと出来なかったかもしれないし。だから、私は今の方がいい。」
ちょっと、大人ぶって「ママの選択は間違っていないと思うよ」と言われた時には、すこし、おかしく、そして、びっくりしました。
そして、私を思う、ウメ子の気持ちに、また泣けてしまいました。
子供は大人が思っているより物事を理解している
子供は、親の事を密かに心配してくれています。
そして、親が思う以上に、子供はしっかりとした考えを確立しているのだとも思います。
まだ、小さいのに親に気を使う子供。
そして、おそらく、片親という事で、それなりに肩身の狭い思いをさせてきたのだと思います。嫌な事だってあったでしょう。それを決して私に伝えようとしません。
もっと、わがままを言っていいし、もっと文句だって言っていいのに。そう思います。
そして、私自身がしっかりとして、離婚したことにすら堂々とすればいいのに、感情に左右され泣いてしまうこの未熟さ。
自分の不甲斐なさに、情けなくなります。
どーんと娘の気持ちを受け入れなければならないのに、娘から慰められる情けない私。
親の七光りはいらない。子供が私に教えてくれたこと
ウメ子は、学校などでよく表彰される事があります。
そして、私は、学校の保護者の方や、教育関係者の方から
「素晴らしい子供さんですね。お母さんの指導力がいいんですね。」とたまに言われることがあります。
そう、
完全に 子の七光りです!!
私のブログを読んでいる方はご存知の通り、私は何も指導していません。しているとすれば、じいじの指導力です。
そして、素晴らしい経歴や財力のある保護者の多い学校の中で、私が自慢できるものなど、何一つありません。
「お前の母ちゃん、すげーな。」と言われるような特技もありません。
そして、高学歴、高収入の保護者に交じり、いつも小さくなっている自信の無い私に
「母親としての自信」をウメ子はくれました。
褒められることなどめったにない私が、「褒められる」という経験をさせてもらえました。
勉強も出来ない、運動だって出来ない、さえない小学生だった頃の私。
あきらめが早く大人になっても愚痴ばかりの私。
そんな私に、ウメ子は、頑張れば出来るんだ、100点だって取れるんだ!そう教えてくれました。
そして、
親の七光りはなくとも、一生懸命頑張れば、道が開けるのだと子供から教わったのです。
シンママ、親が出来ることは何なのか?
では、シングルが子供を育てる上で一体、何が出来るのだろうか?と考えます。
答えなんかきっと人それぞれ。
それでも、
私自身が思う答えは、
愛情を目いっぱいかけること、衣食住を整えること、子供の気持ちに寄り添うこと
これだと思っています。
もし、学校で嫌な思いをしても、子供が学年が上がれば、親にも話さなくなります。親は子供の気持ちに気が付く必要があります。
根ほり葉ほり聞くのではなく(聞いているけど)ただ寄り添う事が必要とされます。そして、子供を信じること。
広くなくても豪邸ではなくても、快適できれいな家を整える。衣服や食事に気を付けること。
たったこれだけでいいような気がします。
そして、これしか出来ないのです。
結局は、子供達の問題は、子供自身で乗り越える必要がある。それを変わってあげたいけど、変わることは出来ない。親はただ子供の気持ちに寄り添うしかできない。
それが、親として辛いところ、もどかしく苦しいところ。そして、辛抱しないといけないところ。
昔の私は、子育てにどこか力が入っていました。でも、子供は自分自身の力で大きくなっていきます。親の知らない所で、随分と成長しています。
それを、見守る、信じるだけなのです。
離婚した親が考えたい。偏見について
今は、2分に1組が離婚すると言われる世の中です。
それでも、離婚した子供というのは少ない。そして、偏見の目というものはやはり少なからずあります。
それが、親子を苦しめる事だってあります。
世のお母さんと話をしていて感じることがあります。
悩みはそれぞれではあるが、それぞれの偏見と闘っていると。
あるママ友に悩みを相談されます。と言っても私は、話を聞いて共感するだけしか出来ません。
付き合いが長いので、彼女の苦しみや乗り越えてきたものは、すごいものだと、ひそかに彼女の事を尊敬しています。
友人は、発達障害を持った子供さんがおり、周りが、「障害を持った子供」という目でみるという偏見と闘っています。
子供が、学校でけんかをすれば、言われもない中傷を保護者から受けることもあると。
学校で、ひやかされたり、誤解をされることもある。
その子供の胸の内を考えると親の心は潰れそうに苦しくなります。
自分自身に対する偏見であれば、まだ我慢が出来ますが、わが子となるとそれは辛いものです。
同じように多くのシンママも「シングルマザーという事で偏見を受ける」と言っています。
特に離婚したことに関しては、
我慢が足りないとか、相手を見る目がないなんて心ない言葉もあります。また、「どうして離婚したのか?」と傷口に踏み込むようなことを聞く人は必ずいます。
それでも、
私達は、子供を守る親でなければいけないのです。しかし、子供は、そんな親を小さな体で必死に守ろうとしてくれています。
パパはいらないと言ったウメ子の優しさ
その言葉に真実があっても、嘘が混じっている事を私は知っています。
こんなに、親思いの子供っているだろうか?と親バカのウメは思います。こんなに優しくてこんなに素晴らしい子供が私なんかの所に生まれてきてくれたのは、きっと神様からのプレゼントだと思うのです。
ウメ子はその日、「ママ、再婚しないでね」と言いました。私は「絶対しないよ。」というと、ほっとしたようにウメ子はすやすやと眠ってしまいました。
私は、高学歴でもないし、高収入でもありません。自慢できるものは何一つありません。おまけにシングルマザーです。
そんな私でも、子供に対しての愛情は誰にも負けないと思うのです。
そして、愛情は、お金もいりません。親が愛情を持って叱ったり、褒めたりすれば、子供には必ず伝わっています。
子供は思った以上に子供ではありません。大人の考えや行動を見ています。
シングルマザーであることは、変えられません。でも、私は子供とその話をすることを、心のどこかで避けていました。
今回、この本を読むことで、私達親子の気持ちが通じ合えたと思うのです。
もっと、心につかえていることを、話し合っていくべきだと思いました。
そして、もし、私が親になっていなければ、知らなかった、気づかなかった大切なことが沢山あったんだと気づかせてくれました。
posted with カエレバ
重松 清 文藝春秋 2009-12-04
頑張れェー、シングルマザー!シングルファザー!負けるなー偏見と戦う人たち
ウメでした。